犬・猫の目が健康であるために

目の構造はカメラに例えられます。
目の組織1つ1つがものを見るのに
重要な役割を果たしています。

白内障とは

 水晶体が"何らかの原因で白濁した状態"を白内障とよんでいます。しかし犬・猫では例外があり、5〜6歳以降より水晶の中心部が"青白く"見える現象がおこります。、これは核硬化症とよばれる老化現象の一つで、これによって視角を失うことはないため白内障とは区別されています。


図1-1成熟白内障

図1-2成熟白内障のスリット像

図2-1核硬化症

図2-2核硬化症のスリット像
白内障の原因
 白内障の多くは遺伝、加齢、糖尿病などによっておこります。
白内障の検査
 水晶体は散瞳剤を点眼してひとみを広げて見ます。
 瞳が広がったら、スポット光を照射したりスリット光とよばれる幅の狭い光で水晶体を観察します。白内障の検査には散瞳から観察まで30分を要します。
白内障の評価
初発白内障・・・水晶体の一部に僅かな濁りを生じたもの。
未熟白内障・・・水晶体にはっきり確認出来る濁りが見られるが          まだ資格を失っていないもの。
成熟白内障・・・水晶体が濃く白濁して視覚を失ったもの、
                                (図1)
白内障を放置すると・・・
 白く濁った水晶体内容が目の中へ漏れ出し、ブドウ膜(虹彩や毛様体)炎症を起こします。ブドウ膜炎が起こると緑内障を続発することがあります。
白内障の治療
 白内障が初期のうちに発見できれば、混濁の進行を防止するために抗白内障薬を点眼し続けます。
 混濁が進行し、視覚障害が現れたら手術により濁った水晶体内容を除去し(白内障手術)、人工水晶体の挿入(眼内レンズ挿入術)を行います。

白内障眼

白内障手術をして眼内レンズを挿入した目
白内障犬にみられる行動
●散歩中に木にぶつかる。
●ボールをなげても気が付かない。
●階段でつまずく。
●寝ていることが多い。
●急に噛みつくことが多くなった。

ぶどう膜炎

ぶどう膜の構造
 目は三層の膜によってかたち作られており、ぶどう膜は、中間の膜で虹彩、毛様体、脈絡膜の3つの部位で構成されています
ぶどう膜のはたらき
 ぶどう膜は目の中へ血液や栄養を供給しています。
 虹彩はカメラでいうと絞りの部分で光の強さに寄ってひとみの大きさ(瞳孔)を調整しています。
 毛様体は目の栄養源である眼房水を産生し、この眼房水の圧力により、目の硬さ(張り)や大きさを一定に保っています。
 脈絡膜は目の後ろの部分への栄養分の供給や排泄物の排除を行っています。
ぶどう膜の病気(ぶどう膜炎)
 ぶどう膜炎はぶどう膜の炎症で前部ぶどう膜炎(虹彩毛様体炎)、後部ぶどう膜炎(脈絡膜炎)、汎ぶとう膜炎(前後部)があります。
 ぶどう膜に炎症が起こると白目の強い充血、目をショボショボする、まぶたの弱い痙攣、ひとみが小さくなる、視力障害などの症状を示します。
ぶどう膜炎

 目をショボショボし、白目が赤く(充血)、ひとみは小さくなっている(縮瞳)。
ぶどう膜炎

 虹彩に色のない犬種では、虹彩充血、出血がよくわかります。
末期的なぶどう膜炎

 目は張りがなくちいさくなりつつあります。
(眼球癆)。
ぶどう膜炎の治療
 目の痛みや炎症を抑える薬とひとみを広げる点眼薬を使用します。症状によっては点眼薬、内服薬あるいは注射薬を組み合わせて治療します。

角膜の病気

角膜(くろめ)のはたらき
 角膜はものを見るために網膜へ像を結ぶための窓口です。角膜は表面の細胞が密に配列されていて外から細菌やウイルスが侵入するのを防ぐとともに、涙でで濡れて、レンズとしてものをハッキリと見るための役割を果たしています。
くろめ         

瞳孔
角膜(くろめ)の構造
 角膜は眼球の約20%を占める血管のない透明な膜で、上皮、実質、デスメ膜内皮の4つの層で構成されています。。上皮は7日、実質は2年で入れ替わることで透明性が維持されています。
 角膜には知覚神経が無数に分布しているので、障害を受けると激しく痛みます。
角膜(くろめ)の病気
 目の表面に位置する角膜は外来の刺激を受けやすく、アレルギー、炎症、切り傷や刺し傷、角膜潰瘍、免疫介在性疾患など、目の病気が一番多いところです。
角膜炎

角膜に血管が伸びている。
色素性角膜炎

角膜に黒い色素ができる。
角膜外傷

角膜に傷がある。
角膜潰瘍

角膜が白く濁り穴が開いている。
角膜(くろめ)の病気の治療
角膜の病気の多くは目薬で治療できますが、中には手術が必要であったり、角膜移植をしなければならないこともあります。

まぶたの病気

 まぶたは危険を察知し瞬間に目を閉じることで眼球を保護しています。またまばたきをすることで目の異物を取り除いたり、涙を角膜や結膜に分布させています。まぶたの表面は皮膚、裏面は粘膜からなり、その境目にはマイボーム腺が多数開口していて油を分泌し涙の乾燥を防いでいます。
 うわまぶたの縁には睫毛(まつ毛)が生えています。犬猫を含む多くの動物ではまぶぬの内側のめがしらに三番目のまぶたとして瞬膜があり、眼球を二重に防御するとともに涙の一部を産生しています。
瞼(まぶた)の病気
 生まれながらにまぶたの一部が内側にねじれ込んでいる内反や、異常な垂れ目となっている外反あるいは部分的に欠損していたりするものがあります。瞬膜腺がめがしらから飛び出しているチェリーアイは若い犬でしばしばみられます。まぶたの病気は、寄生虫や細菌感染などによる皮膚炎や腫瘍、裏側の粘膜に生じる結膜炎など様々です。まつげの異常な生え方を原因とする病気もまぶたの疾患に含まれます。
眼瞼炎

まぶたが腫れる。
まぶたがただれる。
目やにがでる。
麦粒腫(ものもらい)

まぶたが腫れる。
目やにがでる。
チェリーアイ

瞬膜腺が突出及び瞬膜が反転する。
睫毛(まつげ)の病気
睫毛乱生 (さかまさげ)

まつげの生え方が角膜にむかって生えている。
瞼(まぶた)の病気の治療
 目のまわりを清潔にすることは重要です。まぶたの病気にかかると角膜や結膜を傷めることがあるので軽く考えてはいけません。生まれながらの異常やチェリーアイでは手術が必要です。